日本語の文章等で使われる約物の使い分けルール - 神戸東洋日本語学院

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神戸東洋日本語学院

日本語の文章等で使われる約物の使い分けルール

第一回:括弧(かっこ)類

 

約物(やくもの)とは、言語の記述に使用する記述記号の総称で、『役物』とも言います。

日本に留学していたり、働いたりしている外国人は、日本語の小論文や公的文章を作る機会がたくさんあると思います。

その時、パソコンやスマホで括弧を変換してみると、意外とたくさんの選択肢が出てきて、どれを使用するかを悩むこともあるでしょう。和文で括弧の使い方や使い分けルールがありますので、皆さんに紹介したいと思います。

 

1. 鉤括弧:「」

 「」は漢字で「鉤括弧」と表記され、読み方は「かぎかっこ」です。
 鉤括弧は、主に会話を文章で書く時に使われます。他にも、引用や、個別の作品名、タイトル名を示す際や、語句を強調する際に使用される、かなり使用頻度の高い括弧となっています。

 

2. 二重鉤括弧:『』

 『』は漢字で「二重鉤括弧」と表記され、読み方は「にじゅうかぎかっこ」です。
 主に下記の3つの目的の為に使われます。

  (1)書籍・単行本・雑誌・新聞・Webサイト・映画・CDアルバム等
     の名前・タイトルの固有名詞に使用することが多いです。
     示したい作品が複数に分かれている場合は、作品全体に二重
     鉤括弧、個別の作品に鉤括弧を用います。

  (2)文章中のある言葉をより強調したい場合にも使用されます。

  (3)鉤括弧の中で鉤括弧を使いたいときに使用します。
    (例えば会話文の中でほかの人が喋った言葉を表す場合など)。

 

3. 丸括弧:()

 ()は漢字で「丸括弧」と表記され、読みかたは「まるかっこ」です。

 丸括弧は、基本的には補足説明や注記をする際に使うものです。それ以外にも、難しい文字列や漢字などにひらがなを入れたり、別称・略称などを入れたりすることもあり、出典や刊行年を記載する時にも使われます。

 

4. 隅付き括弧:【】

 【】は漢字で「隅付き括弧」と表記され、読み方は「すみつきかっこ」です。

 隅付き括弧は、鉤括弧や丸括弧と違い、文章中で使われるよりも、タイトルや記事の見出しなどに使われるのが一般的で、目立たせたい部分やキャッチコピーなど読者の視線を誘導することが可能です。

 

5.亀甲括弧:〔〕

 〔〕は「亀甲括弧」と表記し、読み方は「きっこうかっこ」です。

 亀甲括弧は、縦組みの文章においてよく使われる括弧で、鉤括弧や丸括弧の中で使われるか、あるいは単独で使われます。主な使い方としては、強調や引用の補足となります。

 

6. 角括弧:[]

 []は漢字で「角括弧」と表記され、読み方は「かくかっこ」です。

 亀甲括弧同様、強調や引用の補足などを表すときに使います。引用部分に補足説明を入れる際、横組みでは、[ ( ) ]のように角括弧を使用します。丸括弧の中にさらに括弧を入れ子にする際も、そのように、外側に「角括弧」を使用し、中の説明文に「丸括弧」を使用します。

 

7. 波括弧:{}

 {}は「波括弧」と表記され、読み方は「なみかっこ」です。

 使い方は隅付き括弧と同じで、目立たせたり見出しの一部を強調したりします。

 

8. 山括弧:<>

 <>は漢字で「山括弧」と表記され、読み方は「やまかっこ」です。

 使い方は、強調や引用を表すことが主です。他に、タイトルや見出しなどでも多く用いられます。

 

9. 二重山括弧:≪≫

 ≪≫は漢字で「二重山括弧」と表記され、読み方は「にじゅうやまかっこ」です。

 使い方は、括弧内の文章を強調するのが主です。

 

以上、様々な使い方や意味がある括弧類を紹介してみました。見やすい文章を作成する上で、括弧の使い方を覚えるのは大切です。しかし、括弧の種類は多く、そのうえ使い分けが曖昧なものがほとんどのため、どちらを使用するかを悩むこともあるでしょう。そのため、文章を書く前に自分の中でルールを定めておき、表記を統一するようにしましょう。そうすれば、読みやすく、意味も伝わりやすくなります。

[ベトナム職員M]

 

 

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