日本語の文章等で使われる約物の使い分けルール(第2回)
第二回:句読点
日本に留学したり、働いたりしている外国人は、日本語の小論文や公的文章を作る機会がたくさんあると思います。前回記事では、括弧類を紹介しましたが、読んでいただけましたでしょうか。引き続き、文章作成において大切な役割を担っている、くぎり符号の「句読点」の使い方とルールについて解説していきたいと思います。
1.句読点とは
句読点(くとうてん)とは、句点(くてん)と読点(とうてん)の総称で、文章の終わりや区切りに付ける記号です。
句点(。)は、文章の区切りに用いるもので、文章の終わりに書くのが基本的な使い方です。
読点(、)は、文章を読みやすくして内容を正しく伝えるために付けられます。
2.句読点の歴史
もともと日本には句読点の文化がなかったそうです。明治時代に入ると、誰でも読みやすくするために句読点が使われるようになりました。
句読点が誕生した経緯は諸説あるようですが、急激な西洋化が進む中で英語の文書を目にする機会が増え、文章内で使われていたコンマやピリオドに影響を受けたといわれてます。
3.句読点の基本的な打ち方のルール
① 句点
・感嘆符(!)や疑問符(?)の後ろに句点は付けない
・かぎ括弧(「」)の末尾には句点は付けない
・丸括弧のある文章は内容によって句点の位置が変わる
文の最後に( )を使う時は、( )の後に句点を打つのが基本的なルールです。
ただし、書籍から出展を明記する場合や編集者などのクレジットの場合は( )の前に句点を付けられます。
一般的な文書の場合、通常会話文の最後に句点は必要ありません。それ以外にも、会話文以外で、名称をカッコで囲み、1行で表す場合や、名詞で終わる文、いわゆる体言止めの表現のときも、句点を入れないことがあります。
② 読点
読点を付けるのは、以下の場合が多いです。
具体的には次のような場合に読点を打つことが多いです。
・文章の主題部分が長い場合、その後に付ける
・文章の中止するところに付ける
・固有名詞や並列になっている語句の切れ目に付ける
・条件や理由を説明する語句の後に付ける
・言葉を隔てて修飾する語句の後ろに付ける
・感動詞の後に付ける
・提示した言葉の後に付ける
・文の途中に主部を置いた場合、その前に付ける
・助詞を省略した箇所に付ける
・文章の中に「主語と述語」が複数ある場合、その間に付ける
・同種類の言葉が連続して読みにくい場合に付ける
・逆説を強調するために付ける
読点の役割は「読みやすくする」、「正しく伝える」という曖昧な表現のため、句点と比べるとはっきりとした基準がありません。
しかし、少なすぎても多すぎても読みにくい文章になってしまうので、20~30文字を目安に読点を打ちましょう。
4.句読点を使ってはいけない文章
日本では、今でもゲン担ぎのような習慣が根強く残っています。縁起の良いこと、おめでたいことに区切りをつけないよう、年賀状や結婚式の招待状、賞状、証書、挨拶状、感謝状など、お祝いごとの文書には句読点を使わないのがマナーとされています。
ゲン担ぎ以外にお祝いごとの文書で句読点を使わない理由があり、それは相手に敬意を表すためです。「句読点がなくてもご理解いただけると思いますので」という相手の知性に敬意を払う意図から句読点を使わない文化が生まれたそうです。
以上、句読点の役割や基本的なルールについて紹介しました。これまでより自信をもって句読点を付けられるようになったと思ってもらえたら幸いです。
[ベトナム職員M]